雇われない生き方⑧ 銀のスプーン職人

このシリーズは、「就職しない生き方が、いい」というものではありません。
わざわざタイトルにするぐらい、私の周りではそういう方がいなかったので
たくさんの実例を知りたくて、直にお話を伺いながら記事にしています。

就職するもよし、しないという道もまたアリ。
今何をしていても、これからどんな事が起きようと。
どっちも選べるんですよね、いつでも、どっちにでも(^^)b。

大丈夫、人生の舵は自分のもの。

私自身、このシリーズを通して、心からそれを実感しはじめています。



さて今回お話を伺ったのは、銀のスプーンの職人、細谷隆さんです。
標高1200mの地にある工房へ行ってまいりました。
大きな音のする加工機があるので、あえて人のあまり住まない高地を
選ばれたとのこと、どんな機械が待ち受けているかと思ったら
ほそやさん・マシン
おおおおお、想像以上(°O°;)
仁王像並みの重厚感です!
ほそやさん・マシン2
スプーンやフォークって、こんな巨大なもので
ガッツンガッツン叩いて作るのですね。しらなかったー!

ほそやさん・さいしょ3
左が加工前。
真ん中は、金型です。
これをガッツンガッツンして、繊細なエンボスが生まれます。
粘土だったら手でえいえい、で済むんですけどねぇ。
右は完成品です。
実物、とてもうつくしいです



細谷さんはお父さんの仕事を継いで職人になりました。

子どもの頃から、職人の道も充分視野に入れていたものの、
卒業後はいったんアパレルメーカーに就職。
で、なんと、アメフト選手でした。
サッカーでいうとJリーグにあたる最前線、実業団チームで活躍しておられました。
つまり、サッカーでいうと元Jリーガーなのであります。
サッカーでいうと。

会社の仕事も選手生活も順調だったある日、
お父さんが交通事故で利き腕を痛めてしまわれました。

今はまだ辞めたくない、というタイミングで、選択を迫られた細谷さん。
何ヶ月も悩まれた末、職人の道を選びました。

こちら、雑誌の取材に応じた細谷さん親子のすてきな写真。
ほそやさん・雑誌
ほそやさんしゃしん

細谷さんが受け継がれた東京銀器は、東京都伝統工業41品目の中に含まれています。
東京の工場では、1本のスプーンを何人かの職人さんで分業して作っていたのだそうです。
ということは、他の職人さんもいないと、スプーンはできないのですが
馴染みの職人さんが体調を崩されたのをきっかけに、
磨きなど他の行程も自ら手がけるようになっていったのだとか。

結果、東京を離れる下準備ができ、
お子さんのアトピーが田舎だと発症しないという事も後押しとなって
父&子は山梨、母は東京、という細谷家の2世帯体制がスタート。
(うちも10年やったけど、けっこうお仲間いますね〜)

こらんください、写真のキレがイマイチで申し訳ないですが、
メッキでない本物の銀、この美しさ、この輝き。
ほそやさん・スプーンたち
クラフトフェアなどでは、細谷さん本人がお客さんと会話しながら
カトラリーたちを見送るのですが、
「一生大事にします」と、連れ帰って行かれるお客さんもいるとか。
いいなあ、細谷さんの仕事も、買ってくお客さんも、いいなあ(^^)。


カトラリーだけでなく、アクセサリーもたくさん。
ほそやさん・あめふと
例えば、細谷さんならではの精巧な一品、アメフトのヘルメットのペンダント。
ちなみに職人になった後も、クラブチームで活躍したりコーチとして呼ばれたりと、
細谷さんのアメフト人生は現在進行形。

ほそやさん・リング
これもユニーク、スプーンの柄のゆびわ。
美しい彫り模様、たしかに脇役にしておくにはもったいない(^^)b

ほそやさん・いぬたぐ
わんちゃんのタグや

ほそやさん・ペンダントトップ
日本地図のモチーフ、

ほそやさん・紙飛行機
紙飛行機のペンダント!
銀でも3000円しません、真鍮のはもっとリーズナブル。
手づくりなのに、リーズナブルでびっくりです(°0°;)

ちなみに上のモチーフたち、
いちいち手ノコで切って形を作っておられます。
クッキーみたいに型でポン、とできるわけではないので
ゴリゴリギコギコ、ぜんぶ手作業!



ほそやさん・あかちゃん
あと、細谷さんとこは、
赤ちゃんのための商品が充実してます。
ほそやさん・赤ちゃんスプーン
こちらは離乳食中期以降(7〜8ヶ月)からを
意識して実際に保育士のみなさんと研究したという
”食べやすくて食べさせやすいスプーン”。

実は細谷さん、保育園で
0・1・2歳クラスをサポートした経験がおありで、
資格をとろうとしたことまであるほど、保育にしっかり取り組んで来た方なのです。
たまたまお声がかかって始めた仕事だったそうですが
アメフト選手な細谷さんが、0・1・2歳の赤ちゃん部屋で
保育中なのを想像すると…小さい赤ちゃんがより小さく見えそうです(^^)





さて、最初に「人生の舵は自分のもの」と書きましたが
これは細谷さんのお話をきいていて、浮かんで来た言葉です。

そろそろ成人という2人のお子さんの、
様々な節目において細谷さんは
大事な友人に敬意を持って接するような
子育てをされてきました。

待つ。聞く。見守る。
支配しない、操作しない。
その子の人生の舵は、その子のものだから。


子どもと接することで得られた学びを、細谷さんは
人に乞われて文字にして、小さな冊子にされています。
子どもに関わるすべての人とシェアしたいような
珠玉の言霊がつまってまして、これは別の時に
追々ご紹介したいです。すてきなんです、ほんと(T_T)。
お話うかがってて、嬉しくてわくわくしました。



アメフトと、保育と、きっと他にも細谷さんの引き出しはたくさんあって
全てが響きあって、作品になったり言葉になったり。

本当は、どの仕事をしている人もそうだと思いますが
フリーランスはとくに
「職業=本人そのもの」。

細谷氏のつくる作品に、ご本人そのものにお会いしたい方、
標高1200mの工房へぜひ(事前にお電話を。あと、あったかい季節のうちに!)。
銀のスプーン工房 ほそや

また、今週末の6月15日(日)、八ヶ岳マルシェ@原村に参加されます。

ほそやさん・ワークショップ
真鍮のスプーン作りワークショップがあったり、
ワンちゃんのタグをその場で彫ってくれたりするそうです(^0^)/

細谷さんが使う言葉の丁寧さ、温かさに
背筋がのびる思いで、工房をあとにしました。
たくさんお話きかせてくださって、
ありがとうございました!





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プロフィール

たわらゆうこ

Author:たわらゆうこ
俵裕子(たわらゆうこ)は
造形教室講師、絵本制作、
造形案の提供など
子どもと美術に関する仕事を
いろいろしています。

過去の絵本作品は↓
●『ペタさんはスタンプがすき』
(フレーベル館・キンダーメルヘン11月号)
●『いろ』(フレーベル館・しぜん2月号)など。



18年続けてきたおさひめ幼稚園の造形教室・Art&Craftは
2014年の師走をゴールとし
無事完走させていただきました。

現在は
◯オルタナティブスクール「まあるいがっこう」
◯夜の図工@豆の花
◯小学生のための遊びの寺子屋「どんぐりと山猫」
の3カ所で定期的に
出張図工屋をしています。

その他、「てがきや・ぐるぐるへび」
または、「たきびや・ぐるぐるへび」と称して
イベント出店しています。


このブログではこどもたちとのすてきな出来事、作品、
その他日常のあれこれなどを
徒然に紹介していきたいと思います。

☆ツイッターはじめました☆
yuko521


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