月とかたつむり

「死にそうな友だちがいるの。
その人に一枚買っていきたいな。」

雑貨屋初日の閉店間際、50代くらいのご婦人がやってきて
版画をいろいろ見て行ってくださいました。


これがいい、とまっさきに手に取ったのが

月とかたつむり・小

「月とかたつむり」。



これを作った時は、
ピンハネの激しい派遣会社に心ならずも勤め続けて、
バイトは4種掛け持ち、派遣先は7カ所同時進行、
忙しすぎて月に一度は高熱でダウン、しかし収入はギリギリという
キビシイ20代真っ最中。

ハガキサイズのミニ版画作りは、
消耗しきってヘロヘロな休日の癒し…でありながら
やりたいことと現実との狭間で、
どうしようもなく襲ってくる焦燥感を鎮める作業でもありました。

その中でも最も「枯れてるな」と自分では思う作品がこれ。
もちろん嫌いじゃないけど、地味中の地味。

そういうものを
「いい」と選んでくれる人が、1人いたというだけでもう
当時の自分が癒される気がします。



1枚といいながら5枚も買ってくださったのですが、
その、彼岸に渡ろうとしているご友人にと選んだのは結局これ。
春が来る・小

版画作りを続けているうちに、スッキリしてきたというか
現実はかわらないけど、まーなんとかなるかなあと
根拠も無く前向きになる時間が増えて来たころの、1枚。

根拠のない「まーなんとかなるか」を、
感じ取ってもらえたんでしょうか。

とかいろいろ考えちゃうのは本人だけで、
作品は生まれたその時から私の手を離れているものですが・・・


ご友人は末期のガン。
そして、ここに来るときも別の知人のお通夜に行って来たの、と。
私も昨年まわりで3人、突然のお別れをしているので人ごとではなく
短く深い会話を交わしました。
「彼岸も此岸もきっとつながってますよね」って。


10年以上しまい込みっぱなしの作品を介して、
見知らぬ人と交わす、けっこう深い会話。


ざっかや、売り上げはさっぱりですが
プライスレスな出会いがたくさん。


3日行って、1日休んで。
明日からまた、ぽつんと開店しています。










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プロフィール

たわらゆうこ

Author:たわらゆうこ
俵裕子(たわらゆうこ)は
造形教室講師、絵本制作、
造形案の提供など
子どもと美術に関する仕事を
いろいろしています。

過去の絵本作品は↓
●『ペタさんはスタンプがすき』
(フレーベル館・キンダーメルヘン11月号)
●『いろ』(フレーベル館・しぜん2月号)など。



18年続けてきたおさひめ幼稚園の造形教室・Art&Craftは
2014年の師走をゴールとし
無事完走させていただきました。

現在は
◯オルタナティブスクール「まあるいがっこう」
◯夜の図工@豆の花
◯小学生のための遊びの寺子屋「どんぐりと山猫」
の3カ所で定期的に
出張図工屋をしています。

その他、「てがきや・ぐるぐるへび」
または、「たきびや・ぐるぐるへび」と称して
イベント出店しています。


このブログではこどもたちとのすてきな出来事、作品、
その他日常のあれこれなどを
徒然に紹介していきたいと思います。

☆ツイッターはじめました☆
yuko521


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